朽木ルキア大ブレイクの予感パート12 :  138氏 投稿日:2005/12/14(水) 23:49:27

※続編になります。先にこちらをお読み下さい。


翌朝―――ルキアが起きると、もう辺りには日が差し込んでいた。
窓からは、寒々しい空が見受けられる。
「ん…む…ふわぁ…。……?」
布団から半身を出し、欠伸をしながら周りを見渡す。
そこは、いつもの見慣れた、しかしどこかぎこちないルキアの部屋ではなかった。よく見ると、灯篭や数冊の書物が置いてある。
更に、気付けば隣に誰かの寝ていた形跡すらあった。
「そうか、ここは兄様の…しかし何故このような処に私が…」
ルキアの寝起きの頭では昨日起こった事をまだ思い出せずにいた。
ぼんやりとした思考回路でだんだんと、しかしはっきりと…別の事に気付く。
「しまった!寝過ごしてしまったか!?」
そう、いつもルキアはほぼ白哉と同じ時間に起きていたのだ。
つまり、白哉がいないという事は…!
ルキアはちょうど近くに置いてあった時計に目を遣る。
「えっと、今は何時なのだろう…。……!!!」
ルキアは驚きに目を見開く。信じられないといった風に時計を凝視する。
現実というのは酷なもので、その針は隠す事もなく巳の刻を指していた。
もうこうなれば、完全に遅刻である。普通の隊員の出隊時刻を二時間も超過していた。
ルキアはしまった、とばかりに部屋を出る…が、襦袢だけなのに気付いてすぐに戻る。
上から死覇装を羽織り、障子戸に手をかけようとした。しかし、何か違和感を感じる。
「―――あ」
その死覇装は白哉のものだった。自分にはいかにも大きすぎて裾が地面についてしまう。
慌ててそれを脱ぎ捨てて丁寧に畳むと、白哉の部屋から出てそそくさと自分の部屋へと向かった。
自分の部屋へ行き、今度はしっかりと確かめてから背にかけ、そのまま玄関口へと足を運ばせる。
ドタバタと騒々しい音が、食事の部屋に近づき、そして遠ざかっていく。
ルキアが起きたらしい連絡を受け、部屋で食事の準備をしていた者達は顔を見合わせた。
そのうちの一人が外に飛び出し
「ルキア様、お待ち下さい!」
と叫ぶが
「すまぬが、じき昼なので飯は良い!」
と返される。
「いえ、そうではなくて…!!」
もう完全に遅かった。そこにルキアの姿など微塵もなかった。
ルキアは十三番隊隊舎を走っていた。息は荒いが、それでも一心不乱に走り続ける。
ルキアの毎朝の仕事といえば浮竹を起こす事であった。だが、もう十時である。
浮竹が雨乾堂にいる可能性は低く、起きているならばいるだろう執務室へと一礼辞しに行こうとする。
この時間帯であれば他の隊員達も色々と仕事をこなしている頃である。当然、廊下には隊員達の姿もあった。
―――視線が痛かった。ルキアを見る、その視線が。
貴族とあらば疎まれる事も確かだった。ルキアもそれは覚悟していた。
その上であの冷たく、ルキアを見る事のない白哉の元へと行ったのだ。
本当は、止めて欲しかった。私は―――
「朽木ルキアです」
気がつけば執務室だった。慣れたものだ。
「ん、朽木か。どうした。…とりあえず中に入れ」
浮竹の不思議そうな声が誘う。
「申し訳ありません隊長、出隊遅れてしまいました!」
ルキアは入るなり、浮竹に向かって深々と頭を垂れる。
それに対して、いかにも訳の分からなさそうな顔で眉をしかめる浮竹。
「…どうした、今日はお前欠勤じゃなかったのか?」
「はい?」
間髪入れずにルキアが訊き返す。
「いや、白哉がお前と一緒に今日は休暇をとっていたはずなんだが…
もしかして白哉のところにいるのが嫌になったか?」
ルキアの頭から抜けていた事を指摘し、更に過ぎた心配さえもする。
あ、とルキアは小さく声を漏らした。今になってやっと気付いたことに、だんだんと顔を赤らめていく。
そう、今日はルキアは隊務が休みの日だった。現世を担当でもしていない限り、年に数日は休みが取れるのだ。
もっとも、休みをとらなくともよい。今日もルキアがとったわけではなかった。
「しかし誰が…?」
「なんだ、何も聞いてないのか。
確か白哉がとっておけ、って言ってたと記憶してるんだが…何かあったのか?」
しかし、接する事さえ少ない兄と妹に何もあるはずがない―――前夜の事を除いては。
「あ、いえ、失礼しました!」
軽く礼をすると、戸の向こうに姿を翻す。
それが恥ずかしさから来るなど、浮竹には理解のしようもない。
「どうかしたのか朽木は…?」
自分の部下には気をかける浮竹である。
ついちょっとした間違いで出隊してしまったなどとは知らずに、真剣な顔つきで思考を巡らす。
―――反逆の件についても。
(迂闊だった…)
ルキアは隊舎の廊下をどことなく駆けていた。
隊長の前で恥をかいたのだ、どこかに穴があれば入りたい気分だった。
とりあえず今は逃げていたかった。―――気持ちが収まるまで。
「やぁ、そんなに急いでどうしたんだいルキアちゃん」
いきなり後ろから声をかけられ、ルキアは慌てて振り向く。
「京楽…隊長…?」
浮竹とは唯一無二の大親友である京楽は、ルキアにも何度か見覚えがある。
しかし、普段の隊長らしくない呑気でお気楽な雰囲気は何処へやら、どこか沈んだ顔の京楽がいた。
…どうやら、無我夢中で走り回っているうちに八番隊隊舎の近くまで来てしまったらしい。
「今、ボクちょっと気分が沈んでてね…。
そうだ、ここで会ったのも何かの縁、ちょっと一杯付き合ってくれないかな?」
ルキアがこんなところまで来てしまったのには何一つ触れない。
ふと気付くと、いつも一緒にいるはずの七緒がいない。ここまでくると疑いさえ浮かぶが
(何を疑心暗鬼になっておるのだ、私は―――)
と自分に言い聞かせる。幾ら振る舞いは軽薄であろうと、京楽は女性に危害を加えるような事は決してしない。
それがあってからこそ、今の平和な八番隊は成り立っていた。
ルキアはその誘いを了承し、京楽とともにやや重い足取りで歩き始めた。
「ルキアちゃんは『久里屋』って知ってる?
ボクのお気に入りの店でね、徳利最中っていうのが特に美味しいんだ」
「ええ、存じております」
ルキアの今の家柄は貴族のそのまた上である。菓子など高級なところから取り入れるのは当然といった事だった。
勿論、養子とは言えルキアも例外ではなかった。あんな貧しい所の出でありながら…。
「で、落ち込んでたり、七緒ちゃんにお酒呑ませてもらえない時に食べたりするわけよ」
ルキアは餡蜜を好んでいたため、この店の他の菓子はあまり口に入れた事がないものの、徳利最中の味は知っていた。
とても美味しかった。こんな時に恋次がいたらなんと言うだろう、と思いもするほどだ。
「まァ、別に今日はお酒を禁止されてもいないんだけどねぇ…」
じゃり、じゃりと大柄の男と小柄の女が時折喋りながら並んで歩く。
傍から見れば親子、いや恋人に見えたかも知れない。少なくとも誰か知らないのならば。
「あ、着いた着いた。ここだよ」
がらり、とやや古ぼけた店舗の戸をあけて中に入る。
「いらっしゃいませ…あら、京楽隊長に…珍しい方も連れていらっしゃいますね」
京楽はここの常連で、この店では割合有名だったので、店員が目を丸くしたのには別の理由があった。
「可愛いお客様をお連れで…もしかして隊長、口説き落としてきたのですか?」
京楽は微笑し、ルキアは顔を俯ける。
「いやいや、ちょっと慰めてもらおうと思ってね。
口説き落としたりなんかしたら白哉に何をされることやら…」
「はは、それもそうですね。
とりあえず奥の部屋を用意しておきますよ。…お酒の方はどうします?」
「ああ、今日は一杯頼むよ。ルキアちゃんはどうだい?」
「あ、いえ、私は…」
「まァ、そんなお堅いこといいなさんな、奢ってあげるからさ。
という事でもう一杯頼んどくよ、大丈夫かな?」
「はい、大丈夫です。…では、奥の間へご案内します」
そう言うと、店員に連れ立って京楽とルキアは奥の間へ向かっていった。
店員がその部屋の戸を開ける…と、朽木家の一室にも負けぬなんとも立派な部屋だった。
「では、私はこれでおいとましますよ」
「どうも」
店員が下がると、部屋に残ったのは京楽とルキアだけになった。
ルキアは緊張しているのか、固まったまま動かない。
「ホラ、ルキアちゃんも座るなよ。せっかくなんだしさ」
京楽に声をかけられ、ルキアは顔の筋肉を緩めて微笑を繕った。
「それではお言葉に甘えて…」
机を挟んだ京楽の向かい側に足を畳む。
「まァ、そんなに緊張しなさんな。そんな事よりちょっとボクの話を聞いてくれないかな?」
京楽は薄く笑み、寂しそうな顔を向ける。
普段とは一風変わった雰囲気の京楽に、ルキアもさすがに心配の意が隠せない。
「どうなされたのですか?」
「いや、ね、ちょっと…、告白したんだけどさ、ふられちゃって…」
京楽の場合に置いては、このような事など日常茶飯事である。
ルキアもいつもふられているという事は知っていたので、またかと思いながらも一応尋ねてみる。
「…で、その告白されたお相手は誰なので「お待たせしました」
ルキアが言い終わるか終わらないところにがらっと戸が開かれた。
店員は最中を持ち、しかし顔では気まずい空気を読み取った表情を表わす。
「もしかして…お邪魔になられましたか…?」
「いや、そんな事ないよ。ボクも話聞いてもらってるだけだしね」
「どうも…」
そう言うと、机上に菓子一式を並べ、素早く去っていく。
未だどこか疑りが抜けないのだろう、そそくさと部屋を後にする。
「どうだった?」
部屋から戻ってきた店員に対し、他の店員が話しかける。
「ん〜、別に普通だったと思うけど…。それに評判ほどあのコも悪くなかったしね」
「あ、そうなの?」
わらわらと、その周りに店員達が寄ってくる。瞬く間に噂話は伝染する。
「こら、お前ら何をしている!」
仕事場に上司の怒声が響く。一瞬にして店員達は自分の持ち場に散る。
怒声はルキアにも聞こえていた。くすくすと微笑する。
「…ルキアちゃんは不思議な感じがする」
「そうですか…?」
「うん、なんていうか心が洗われるみたいな…七緒ちゃんとなんとなく似てる」
「そんな…、私にはもったいない言葉です。
…そう言えば七緒殿はどちらへ?いつも一緒におられたではないですか」
ルキアはついに今までためこんでいた疑問を口にする。
京楽ははっと顔色を変え、明らかに落ち込んだ表情になる。
「実はさ、告白したの七緒ちゃんなんだ。冷たく返されちゃってね…」
ルキアの予想したものとほぼ類似した答えが返ってきた。
ならば、何故こんなに落ち込んでいるのか?京楽も普段はすぐに立ち直れたはずだ。
「またいつものでしょう、で軽く括られちゃってさ…ボクってそんなに信用なかったのかなァ…?」
ああそうか、とルキアは思った。この人はいつも失恋した時には七緒に励ましてもらっていたのだ。
いつもの自然なやりとりの中で。そう、普通の人間が自然に立ち直れるはずがない。
しかし、ルキアも一人の女だ。ふられる理由も分からなくはなかった。
「七緒殿は…信用があるから、こそではないのですか?」
世辞を言う。嘘でもなかったが。
「ありがとう。…でも、本当にそうかなぁ?」
「そうでしょう。私なんかと違って、京楽隊長はよっぽど信用がありますよ」
享楽は溜息をつき、口を開こうとする…と、
「お酒を持って参りました」
店の者が盃を二つと、とっくりを片手に戸を開く。
「ああ、ありがとうね」
コト、と硬い音がする。店の者が会釈をし、去っていく。
京楽はとっくりと盃を手に持ち、ルキアの方へと向ける。
「ルキアちゃんも飲みなよ。…それと、一杯注いでくれないかな?」
「承知しました」
ルキアは京楽の側に回りこみ、その細く白い手でとっくりを持つ。
そのまま傾けてとくとくと盃についでゆく。そのしなやかな動きに京楽は感嘆した。
「慣れてるね」
「たまに兄様にしますので…。
それより何故このようなモノがここに…?」
ルキアも何度かここには来た事があった。しかし、茶をしに来ただけで酒があるなど知らなかった。
それもそのはず、ここは菓子屋なのだし、つまみなどのようなものもない。
「あぁ、それはボクが常連だからさ。置いてもらうよう頼んだんだ、ボク専用にね。
ところでホラ、ルキアちゃんもお酒どうだい?」
京楽は強制的にルキアの盃に酒をたっぷりとつぐ。
「いえ、昼間からそんなに…」
「いやいや遠慮しない」
京楽は笑いながら、自分の盃を口に運ぶ。
「ルキアちゃんに聞いてもらって大分気も楽になったしね」
京楽にいつもの表情が戻りつつあった。今までの沈んだ京楽などいなかったのかのように振舞う。
流石は酒豪の京楽、ルキアが口をつけるよりも早く飲み干してしまう。
ぐ、とルキアにとっくりを差出し酌を促す。ルキアは即座にとっくりを持ち、たっぷりとつぐ。
一気に二杯目も飲み干す。そして、その笑みをルキアに向ける京楽。
「ホラぁ、ルキアちゃんも飲みなよ」
ルキアはひくにひけない状況となってしまう。
仕方なしに盃につがれた透明の物体を口に運ぶ。
一口つけると、否応にも飲んでしまい、熱いものが喉を転げ落ちた。
…これは相当濃い酒だ。まだあまり酒を飲んだ事のないルキアには強すぎる。
「あの…」
京楽の方を見ると、もう既にとっくりの中の酒をも飲み干し、泥酔の目を向けていた。
「ほ〜らぁ、せ〜っかくなんだし、ね〜?」
口調からして酔いが感じられる。酒には強いはずの京楽が、完全に酔っていた。
享楽は自分の盃に残った酒を手に取り、ルキアの唇に押し付けた。
「もっと飲みな〜って〜」
ルキアが反応するよりも早く、液体はルキアの胃に届いていた。
いきなりの変化にルキアは目を白黒させ、けほけほとむせ込む。
頭がぼーっとしてくる。くらくらするのを、必死でおさえようとしていたその矢先
「ちょ…何をされるのですか京楽隊長!?」
京楽の手がいつの間にかルキアの胸に回されていた。
隊衣の上から小さく控えめなルキアの胸がまさぐられる。
「ルキアちゃんのは小っちゃいんだねぇ〜」
「やっ…」
やめて下さいと言い終わらないうちに手が死覇装の中に入ってくる。
柔らかく、撫でるような手つきで乳房をさぐりまわす。
先日、この刺激に慣らされてしまったルキアの体はこれだけでも敏感に反応した。
「はぁっ…ん!」
京楽の指が、ルキアの胸の頂点に触れた。ルキアがびくんと体を震わす。
「ルキアちゃんは敏感だねぇ」
「そん…なっ、ことっ…!!」
突起が次々と甘い刺激にさらされる。ルキアは悶えて言葉にする事すらできない。
しかし、この部屋でこんな嬌声をあげていては誰かに感付かれてしまう。そう思ったルキアは
「こんな部屋で…んっ、やめて下さ…いっ!」
となんとか途切れ途切れの声をあげる。
相手は女好きの京楽。女性の気持ちを察するモノである。
京楽はふと胸への愛撫をやめ、数歩後ろへ下がる。
「そぉだね〜、こっちの部屋だと誰かに見られちゃうかも知れないからね〜」
「でも心配御無用、奥の部屋があるから大丈夫だよ〜」
京楽は店員が入る戸とは逆側の、奥の方の襖に手をかける。
と、ルキアは目を見張る。なんと奥の部屋には布団まで用意してあったのだ。ルキアを絶望感が襲う。
驚きに唖然とするルキアをよそに、京楽はにやりと自分のあごを持つ。
「ふふ、やっぱりあのコ達用意してくれてたのか。
じゃあルキアちゃん、今からボクと一緒に寝よう!」
京楽は目にも留まらぬ速さでルキアを抱え込むと布団の上に押し倒した。
「お、おやめ下さい京楽隊長っ!」
ルキアが悲痛な叫び声をあげるも、泥酔した京楽の耳に届くはずもない。
京楽はさっと、一瞬でルキアの帯を解く。惜しげもなく、小さくも整ったルキアの胸が外気に晒される。
「ふぁっ…ひっ…!!」
京楽が先端をつつく度にルキアから喘ぎ声があがる。
「なるほど、ルキアちゃんもなかなかじゃないか。ボク、気に入っちゃったよ」
「そんなっ…んんっ!」
京楽はその手でねちっこくルキアの手を攻めたてる。
胸全体を揉みしだき、あいた人差し指で中心を弄び、そして中指と人差し指とで挟んで虐める。
「ふぅ…はぁっ!」
はさんでいた突起を、はじく事で解放する。と、ルキアの脳により鋭い刺激が送り込まれた。
「いっ!…はぁ、はぁ…」
攻めが中断され、苦しげに息を吐くルキア。
その顔には、表情を繕う余裕など残されていなかった。
ルキアの息が整うのをじっと見つめる京楽。
少し息遣いが収まり、ルキアは京楽を見上げる。そこにあった表情はいつもの京楽そのものだった。
まるで何かを慈しむかのような優しげな眼差しにルキアは随分安心する、が
「さてと、お次は下の方にいこうかな?」
やはりそんなわけはなかった。
ルキアの下半身の死覇装と白襦袢を剥ぐなり、まだ幼さの残る割れ目をなぞる。
「ふ…うっ…ぁ…!!」
ルキアが歯を食いしばる。僅かながらも蓄積されていくもどかしさ。
京楽は数回そこに指を上下させると、いきなり中に指を差し込む。
「はあっ!」
ルキアの声が大きくなる。それはもう、はっきりと女の声だった。
まだそこはさほど湿ってはおらず、相変わらず締め付けはきつい。
指の腹を壁に押し付け、そしてそこを強く擦る。すると、それに呼応してルキアが妖しい声をあげる。
「ルキアちゃんって意外とこういう事が好きだったのかな?」
と京楽が問えば
「いやっ、違い…はぁっ!」
と嬌声混じりでルキアが答える。
「嘘言っちゃあ駄目だよ」
京楽はわざとらしく意地悪く言うと、その指を更に奥に沈めた。
ルキアのソコはだんだんと熱く、そして潤ってくるのが感じられる。
「んっ、やっ、はぁ…!」
隊服を散らかし、布団の上で悶えるルキアは必死で耐えていた。
奥へと入り、入り口に戻り、奥へと侵入し、入り口に後退し、奥へと沈み、入り口に浮上する…
その一定の間隔に、ルキアは慣れる事なく感じ続ける。
最大限まで目を瞑り、歯を食いしばり、布団を掴んで、淫らに暴れる。
「でもね、そんなに声出してると店の人に気付かれちゃうかもよ?」
気付かれる、という単語にルキアは反応する。
そう、こんな光景を見られてはいけない。見られては、どんな噂がたつやも知れぬ…!
そう思ったルキアは、なんとか自分の手を布団からはがし、自分の口へと運んでゆく。
下半身の刺激に乱れながら、それでも声を漏らしてはいけないと自分の口を塞ぐルキア。
「んっ…く!」
指のペースが更に速いものへと変わる。
何かを掴んでいないと耐えきれられない―――と、勝手に手が口を離れてしまう。
それでも必死に声を出すまいと努力するルキアの姿は、男からすれば相当そそるものであった。
しかし、声を我慢するのにも限界が来ていた。もう無理だ、声をあげてしまう―――!
「そういや、ボクもうちょっとお酒が欲しくなってきちゃったなァ…」
「お酒、ですか…?」
急に指を引き抜かれ、未だ恍惚とした頭で訊き返す。
少し思考回路が戻ると、それはイコール酔いが失くなってきた、と理解する。
それにルキアは内心安堵の息を吐くが、現実そうではなかった。
「うん、『わかめ酒』っていうヤツなんだけどねぇ…」
「はい…?」
勿論、それがルキアに理解できるはずがなかった。寧ろ、しようがなかった。
酒の品種であっても、そのようなものはまったく知らなかった。
それもそのはず、『わかめ酒』とは『若芽酒』の事なのだから。
「ルキアちゃん、ちょっとわかめ酒いいかなあ?」
「いえ、そのようなものは存じませんが…?」
裸の姿できょとんとするルキア。それは、誘っているかのように見えた。
「いいのいいの、今ここにあるんだから」
ルキアは、何がなんだかまったくわからない様子で首を傾げるが、次の瞬間艶かしい声をあげる事になる。
京楽がルキアを押し倒し、あろう事か恥部に口をつけていたのだ。
「はあっ!」
強く吸引されると、脳天を貫くような刺激がルキアの体を奔る。
かと思うと、今度は下腹部がぬるっとした感覚に貫かれる。
「いやぁっ…や…め…んっ!」
ルキアは悩ましい声をあげる。それもそのはず、ルキアの陰部は京楽の舌が捉えて離さない。
舌で膣の中を掻き乱し刺激して、蜜が出てくるのを誘う。
そして出てくれば今度は吸い上げる。
そのきつすぎて脳まで響くような刺激が今、絶え間なくルキアを襲っていた。
「ひうっ!はぁ、は…んあっ!」
それはルキアに息をつく間も与えずに続けられる。
既にルキアの内部は暑く滾っており、『わかめ酒』にも申し分ない程潤っていた。
ルキアの内部では舌が暴れ続け、痙攣をも始める、と
「ひゃあっ!?」
ルキアのそこにもう一つの感覚が訪れる。京楽の指だった。
舌だけでもいっぱいなのに、更に指が攻めに加担する。
覆われている皮を剥き、核に直接人差し指を宛てる。
「んんっ!」
空気を裂くような喘ぎ声がする。ルキアは刺激に耐え切れないといった表情を表わした。
京楽の指が蕾を虐め、京楽の舌が膣内を甚振る。
「は…ぁっ、やあっ!」
ついには、ルキア自身さえもが快感に堕とされそうになる。
ルキアの蓄積された快感が、たまりにたまって爆発しそうなくらいもどかしくなってくる。
京楽もそれには薄々感付いていた。それを知っていて、わざと動きを激しいモノにする。
「ふぁ…はぁっ…!」
ルキアの息が明らかに荒くなる。ぼんやりとした頭の中で、ルキアは感じた。
また、あの感覚が昇って来る―――体の底から湧いてくるそれが、
だんだんと熟して大きくなった実が弾けるかのように―――刹那!
「はあああぁっ!」
ルキアは、頭の中に白い閃光が奔るのを感じ、大きく体を仰け反らした。
ちゅ、と音がしてルキアの下半身に液体が湧いて出てくる、と
「んうぅっ!」
イった後だというのに再び下腹部の強い吸引を感じてルキアが叫ぶ。
そう、京楽が『わかめ酒』を飲んだのだ。京楽は未だ吸い続け、くちゅ、くちゅといやらしい音がしている。
ルキアは虚ろな焦点の定まらない目で自分の下の方を見た。
と、京楽が顔を離すのが見える。何故かそれだけがはっきり見えたような気がして、ルキアは顔を紅潮させる。
「ふう、ごちそうさま」
京楽はわざと宣言する。京楽の口内には、ルキアの蜜の味が充満していた。
「さて、と。ボクだけ飲んでるってのも悪いし、ルキアちゃんにも飲ませてあげなきゃ」
と、二本目のとっくりを持ってきたかと思うと何故か自分の口に含む。
そしてぼーっとしているルキアの顔に近づいた。そのまま、ルキアの唇と自分のを重ねる。
「んむうっ!?」
いきなりの行為に、思考回路が止まっていたせいか余計驚く。
ルキアがその行為を理解するよりも早く、ルキアの口内に強い酒の臭いが広がった。
京楽が、ルキアの口に酒をうつしていたのだ。
頭がくらくらした。そう、ルキアには強すぎる酒だ。
「あ〜、これがボクにとっちゃファーストキスってヤツになるのかなァ〜?」
京楽が勝手な事を喋りだす。酔いが入っているからか、仕方ないのかもしれなかった、が。
ルキアにはそれどころではなかった。ファーストキス、つまり始めての口付け…勿論、良い事は思い浮かばなかった。
好意のある者に奪われるものならばまだましなのだが、最初の相手はあの、兄妹関係の白哉だった。
それだけならばまだ良い。次は嫌いな男に遊び感覚でされたのだ。悔しいの比ではなかった。
ルキアはこれらの事を思い出すと泣きそうになる。しかし、酔いでそれさえも麻痺してしまっている。
「じゃあ今度は、ルキアちゃん自体をお酒に漬けてみよっか」
酒が入って普段よりもやたらテンションの高い京楽が、とんでもない提案をする。
「は…い…?」
無論、ルキアにはわからない。
疑問の視線を京楽に向けるルキア、しかし次の時には視線は天井に行っていた。
「なっ、何をされるのですか…?」
ルキアは何をされるかわからない恐怖に震えていた。
京楽はそれに対し笑みを向けただけで、物も言わずに再びとっくりを手に持つ。
ルキアの恥部あたりまで移動すると、急にとっくりを傾け始めた。
容器から溢れた酒が、ルキアのソコにかかる。冷たくも熱く迸る謎の感覚にルキアは困惑する。
「おや…めっ、下さ…いっ!?」
最後まで言い終わるか終わらないうちに、ルキアの声を快感が遮った。
その酒が入った処を、京楽に舐められていた。
「んっ…はあっ…」
再度、冷たくも熱い謎の感覚がルキアを襲う。
そして、それは胸にも訪れる。胸にも酒がかかる。
上半身の先端に液体がかかり、そして指で弄ばれてルキアは反応する。
下半身の恥部に液体がかかり、そして舌で舐めまわされルキアは反応する。
両方から来る刺激にルキアは息を荒げた。快感に震える時もそう遠くはなかった。
「ひいっ!ん…っ!」
ルキアはたまらないといった表情を浮かべ、歯を食いしばる。
目はきつく閉じられ、淵にはほのかな雫が宿っていた。
一回達した後の快感は辛い程に気持ちよく、それは耐え難いものだった。
「あ…んぅっ!」
すぐにまた絶頂に追いやられそうになる。ルキアは覚悟を決める、が
「は…あ……っ?」
その刺激は途切れ、京楽は顔と手をルキアの体から離してゆく。
今のルキアの快感に歪んだ頭では理解することが出来なかった。
ルキアが京楽を見るその顔は、この行為の否定からくる苦しげな息をつくのと、この行為の肯定からくる名残惜しそうな二通りの顔を成していた。
「ま〜ま〜、そんなに慌てなさんな。ボクがもっといいモノをあげるからさ」
ルキアは肩で息をついていた。心は、もうやめたいと思っていた。
しかし体が言う事を聞かない。けだるくて、方針したように体が動かなかった。
「さァて、ちょっと痛いかもしれないけどガマンしてね〜」
京楽がそう言うと、ルキアは自分の下腹部に何か宛がわれるのを感じた。
これは…もしや―――そう思った時にはもう遅かった。
「やああっ!」
悲痛な叫び声と共に、京楽のソレがルキアを貫通していた。
「く…ふ…ぅっ…!」
「く、結構狭いんだねぇルキアちゃんの中は…」
入れようとしても入らない。ルキアの肉の壁が、侵入を拒んでいた。
「や…め…んっ!」
ルキアは膣を弄られている事に感じながらも、やはり苦痛に顔を歪める。
きつくしめつけるその感覚はルキアにも京楽にも快感として伝わっていた。
「ご免よ、ちょっとムリしちゃうけどね…」
「…っは…!!」
宛がわれる力が強くなる。ルキアは目を見開いた。
少しずつ、中に異物が侵入して来ている…!!
そのおぞましい感触は、ルキアに快感と痛みを与える。
「い…やだ…!」
ルキアの目の淵にたまった涙が零れた。ルキアは嫌悪から顔を逸らす。
しかし意識とは逆にルキアの手は何かをつかまなければ耐えられない、という衝動に京楽の背中を強く掴む。
そして、ついに京楽のそれがルキアの最深部に到達する。
その瞬間動きがやみ、ルキアは息をする時間を与えられるが、勿論精神的にも肉体的にも余裕は残っていなかった。
「はあっ、はあっ、ぁっ…」
ルキアは激しく肩を震わす。しかし、京楽の
「じゃあ、ちょっと動くよ?」
を合図に、内部を掻き回されるような感覚に襲われる。
入り口まで引き抜かれたかと思うと、そのぽっかりとあいた隙間を埋めるかのように突き出される。
「ひゃ…はっ、あっ!」
その優しく激しい動きに、ルキアの体は翻弄される。
一回突かれる度に、鋭い感覚が脳を貫き、艶かしい声があがった。
「は、っく、んああっ!」
すっかりそれを自分のモノと銜え込み、抵抗をも忘れて乱れ続ける。
同じようなその動きに、だが確実にルキアは支配されてゆく。
「ルキアちゃんは乱れてる姿も美しいよ」
「…んなっ、はあっ…こっ…とあり…んんっ!」
最早尋常に言葉を紡ぐ気力さえ残っておらず、突かれるままに喘がされていた。
結合部からはしとど蜜が流れ出し、ぐちゅ、ぐちゅといやらしい音をたてている。
「くっ…あんっ!」
ルキアは、ふと奥底から何かが這い昇がってくるのを感じる。
そう、またあの『感覚』がルキアを絶頂に押し上げていく。
「ひっ…いっ、やあっ…」
ルキアは歯を食いしばった。来る快感の爆発に向けて、限界まで耐える。
しかし体は敏感に反応し、意識も遠のいていく。京楽のソレをきゅうきゅうと締め付ける。
「ルキアちゃん、きつくなったね…ボクももうそろそろ…ッ!」
ルキアから一筋の涙が零れ落ちる、その瞬間
「ふあああぁぁっ!?」
ルキアの体を電流が奔り抜け、それと共に熱い白濁をも体内に受け止めた。
「あ…ああ……」
ルキアは虚ろな目で、口を半開きにし、そのまま崩れこんだ。
京楽が自身を抜くと、くぷっという音と、今まで塞がれていた愛液が流れ出す。
ルキアの目は開いており、朦朧とした意識はあるものの、その瞳はどこをも映しておらず、何も考えてはいなかった。
京楽は酔いが性欲から睡眠欲に変わったのかばったりと倒れ、寝息をたてて寝てしまった。
そのまま、時は止まったのかのように二人は動かなく、しかして数刻が過ぎた…。
その日の夕刻、陽が辺りを赤く照らし始めるころ―――
京楽は未だ寝ていた。静かに、幸せそうな寝息をたてて。
しかし、安眠は突然妨げられる事になる。
「京楽隊長、お起きになって下さい!」
「んー、よく寝た。おはようさん、て…あれ…?」
京楽は身に覚えのない所で寝ていた。
そう『久里屋』で、今、店員に起こされていたのだ。
「ボク、何してたんだっけな…?」
強い酒のせいですっぽりと記憶が抜けていた。密事をしたなど欠片も残っていなかった。
京楽は、何故か妙にけだるい体を布団から起こし、辺りを見渡す。
そして近くにあったとっくりを掴むと、それを眺めて一人呟く。
「誰と飲んでたんだっけ…?」
「ルキア様と飲まれていたのではなかったのですか?先程出て行かれましたが…」
店員が即答する。起きたばかりの京楽には不思議な事だらけで、ただただ首を傾げるばかり。
「はて…」
必死に思考回路を巡らせ、思い出そうとするが何も思い出せない。
ふと、ある疑問が浮かんだ。
「ねえ、これなんてお酒だっけ…?」
店員にとっくりを渡すと、店員は色々と考え、思い出し、そこから答えを見つけ出す。と、
「あ!申し訳ございません!」
急に声を大にして地面に頭を垂れる。京楽はそれを軽くたしなめると、再び品種を訊いた。
すると、驚きの答えが返ってくる。京楽は呆気にとられた。
「それって…ボクでもかなわない物凄く強いお酒じゃないか…なんでそんなモノが…?」
店員にも分からない。二人は顔を見合わせたまま途方に暮れた。
冬の寒い風が吹く、夕刻の事だった…

そして京楽が食べなくて余ってしまった菓子に困ったのもその後日のお話。


(完)