朽木ルキア大ブレイクの予感パート11 :  MIKE氏 投稿日:2005/09/06(火) 23:55:10

※単体でも読めますが続編です。前編はこちら


「お前は、」
 言いかけて、途中で口を閉ざすルキア。初めてなのだな、なんてことは聞かずともわかることだった。
 苛立たしげに「んだよ」と呟く一護。不機嫌そうな面持ちでルキアを睨む。
「……何を怒っている?」
「怒ってなんかねぇよ」
「…………」
「…………」
「……そうか」
 ふっ、と笑いが漏れる。一護は仏頂面のまま舌を打って背中を向けた。
 一護だって自分が苛々していることくらい自覚していた。そしてその原因も。
 ……照れ隠し。
 今まで、一護にとって他人に弄ばれることは屈辱だった。一人でいることがあまり苦痛ではなかったし、それを誇りともし
ていた。恋だの愛だのにはしゃぐ周囲の人間を見ても何も感じなかったし何も思わなかった。
 ”全ては己の身一つで。”
 なまじ強く育ってしまったばっかりに、その矜持は一護の深い所まで根付いていた。
 そして、そんな彼だからこそ。
 冷静になるにつれて、徐々にその感情が沸き起こってくる。
 自分の体を弄ばれ、羞恥をかきたてられるような言葉をかけられ、あまつさえ人の見ている前で射精までしてしまい。何よ
り、それに抗いきれずに受け入れてしまった自分の不甲斐なさが非常に不満なのであった。
 一護にだって人並みの性知識くらいはあったが、しかしその辺りを割り切って考えることができないのが一護の一護らしい
部分でもある。
 ……まあ、身も蓋も無く言ってしまうなら、まだまだ子供なのである。
「…………」
 ルキアは、そんな一護の反応をむしろ楽しんでいた。
 勿論一護のそんな心境は手に取るようにわかったし、そんなテンパっている彼をからかうのも楽しい。ルキアにしたところ
でそういう経験が特に多いわけでもないが、そんなルキアでも、相手にここまで動揺されれば少々の余裕くらい出てくる。
「一護」
 背を向けた一護に、そっと寄り添う。汗ばんだ肌と肌が触れ合う。
「…………」



「まあ、そう怒るな。私が悪かった」
「…………」
「それにそっちを向いたままではもうできないぞ?」
「…………」
「もうしたくないのか?」
「…………」
 再三の呼びかけにも一護は何も答えない。
 意地になった一護は横を向いたまま動かない。
 そのまま、しばらく沈黙が落ちる。
「…………本当は」
 ぽつり、と呟く。
「本当は礼や詫びなどではない」
 甘い空気。
 幻惑的な。
 誘惑的な。
 ひどく、甘い空気。
 一護の、その耳元に顔を寄せ、
 ルキアは言った。
「……私が、したいのだ」
 その言葉に、ぎくりと。
 鼓動が跳ね上がる。
「…………」
 ルキアが体を寄せてくる。柔らかな女性の身体。その控えめな双丘が布地一枚を隔てて背中に当たる。
「…………っ」
「いちご……」
 頑なな姿勢が、徐々に崩れ去る。一護の視界にルキアの頬を赤らめまるでいつもとは違う表情が映る。ルキアが覆いかぶさ
ってくる。いい匂い。
 少し鼻にかかったルキアの声が、耳元に。
 ルキアが。
 ルキアが。
「抱きたい? それとも……抱かれたい?」

 一護の中で何かがはじけた。


 上から覆いかぶさって、誘うように、或いは導くように口付ける。一護の手を取って自らの下着に誘導する。
「……ん……」
 自ら舌を絡めながらも、その行為は決して下品ではない。そんな積極的なルキアの前に、一護はただされるがままになって
しまう。
 矜持も何も、ここにはない。
 ただ男と女がいるだけ。
 時間をかけて、一護の手がようやくルキアの下着を解いた。
 ルキアが顔を離すと、目が合った。互いの顔が至近距離にある。吐息すら感じる距離。その瞳の奥に自分の姿を認め、ああ
彼は今自分を見ているのだ、彼女は今俺を見ているのだ、と理解する。
 震える手で下着をおそるおそる取り払うと、ルキアの慎ましい胸が露になる。ルキアの瞳に羞恥と興奮の色が走る。二人の
間に言葉はない。それは互いの存在を共有しているようにも見えた。
 一護の大きな男の手が、白い絹のような女性の肌に触れる。女性独特の曲線。頬から首、鎖骨を指先で撫でるとルキアはく
すぐったそうに瞳を細めた。そしてさらに下へ。
「……っ」
 ぴくりと体を強張らせたのは、快感の波が胸から全身へ広がったようにも見えた。人の肌で柔らかな部分に触れ、一護否応
なく昂ぶっていく。
「ふ……ぅんっ」
 切なげな吐息が辺りに薫った。押し寄せる快感の波に目をつむって耐える。
 ふと、一護の股間の異変に気付く。
 また何かしてやろうと手を伸ばすと、しかし一護の手がそれを止めた。
「……? ……──っ!」
「…………」
 不思議そうに戸惑うルキアを、一護は力の限り抱きしめる。一護はルキアの柔らかい髪に顔を埋め、ルキアを体中で感じと
る。
 驚いて身を引きそうになったが、徐々にその広い胸の居心地に酔い始めるルキア。一護の鼓動の早さが愛おしかった。
 一護の腕の温もりを感じながら、ルキアは更に姿勢を変える。ひっそりと自己主張中の一護の物を腿で挟み、すっかり一護
の上に体重を預ける形になる。
 そして挟んだ物を腿で擦り始めた。
「…………っ」
 その刺激に、一護は思わず声にならない叫び声をあげる。未曾有の柔らかさを感じながら、ルキアをますます強く抱きしめ
る。
 一方のルキアも、一護のソレに自分の部分が擦れることによって耐え難い快感に震えていた。しかし動けば動くほど物足り
ない。そこを隔てる薄い布が邪魔で仕方がなかった。
「……一護」
「ん……」
 一護の腕の縛めを解き、その邪魔な布を取り払う。生まれたままの姿になった二人は、いよいよ互いを求め始めた。


「っん……はぁっ……!」
「ぐっ……ぅ……」
 ルキアの手が一護の指をソコへ誘う。一護の手を使って、自慰をするように自らを愛撫する。
「っあん!」
 陰核に触れた瞬間、ルキアの背がぴんと張り詰めたようにしなった。その反応に驚く一護。再び、そっと刺激を加える。
「ふぁ……あっ!」
 導かれるままにルキアのソコにに指を埋める。
 ……つぷ。
「あ、ああっ……」
 自分の知らない女性の仕組みに感動しながら、一護がそこを弄ぶ。ルキアの嬌声が徐々にはっきりとしたものに変わってい
く。
「も、もう……」
「ん?」
 一護のソレを掴む。そしてそれを自分にあてがい、それだけの刺激に悶えながらも
「一護、……い……、入れろ」
 息も絶え絶えに言う。
「…………ああ」
 生まれて初めての挿入に深い感慨を抱きながら、ルキアの誘導に従って腰を突き進める一護。
「く……ふぅ……んんっ……」
「う、あ、ああ……」
 互いの体温を感じる。とろけるような快感が、繋がった部分から両者に伝わって行く。
「い、一護……ぉ……」
「ん…………」
 ルキアの切なげに潤んだ瞳。一護は腰を動かし始める。
「んっ……はぁっ!」
 女の声で鳴くルキア。快感に耐えるように一護にしがみつく。
「気持ち、いい……か?」
「…………、……っ」
 答えにならずに、こくこくと頷くルキア。一護は限界を感じ、動きを早めて行く。
「ルキア……俺……っ」
「あっ、……っはぁ、……熱っ……ああぁっ!」
 どくん!
 そのまま痙攣したように一瞬かたまって。
 力を使い果たしたように、くたりと二人で倒れこんだ。


 一護は幸せだった。
 というのも、……まあ、言うまでもないだろうがルキアのおかげだった。
 
 以来、二人の関係は一新した。それは勿論恋人のような甘いものではないが、

 トントン。
「ん、なんだ?」
「ほらよ、メシ」
「おお、すまんな」
「足りなかったら言えよ」
「ああ」

 ……とか、

「……一護」
「ん?」
「え、と……」
「ああ、わかった」
「……ん」

 とか、まあ、随分変わったのだった。
 ただ、生じた問題が一つ。
 一護は気が重そうに呟く。
「……ますます家族に言えなくなっちまった」
「む、言えばいいではないか」
「……簡単に言うよな、お前は」
「駄目なのか?」
「まあ、その……な」
 ルキアとしたことを思い出すと、どうしても言い出せなかった。
 別に何というわけではないが、なんというか、その、後ろめたさが……。
「…………」
 一護が口ごもっていると、ルキアが申し訳なさそうに目を伏せた。
「……やはり、迷惑なら出て行くか?」
「そ、そんなことねぇよ」
「……しかし」
「本当だって」
「……そうは言っても」
「気にすんなって!」
「…………」
「…………」
 いつになく必死な一護。
 ルキアはため息をついた。
「……まあ、そこまで言うなら」
「あ、ああ」
 そしてジト目で一護を見る。
「……私の体が目当てなのだろう」
「ちぐゎっ」
 違うよ違うに決まってんじゃねぇか何言うんだよお前、と言おうとしたが慌てていたので舌を噛んだ。
 その情けない姿に、ふふっと破顔するルキア。


「……まあ、時々だぞ」
「……お、おう」


(完)