朽木ルキア大ブレイクの予感パート13 :  539氏 投稿日:2006/07/15(土) 23:48:03


一護誕生日・昼


「お兄ちゃん、お誕生日おめでとう!」
遊子がショートケーキを乗せた皿を差し出した。
「おやつだよー。夜にもちゃんと、ご馳走と、大きいケーキ出すからね」
「お、おう…。ってか、いつまでもガキみてーなパーティなんか…ごげっ…」
「我が家は家族の団らんを大事にする家庭だ。それに従わない奴は許さん。
…ルキアちゃーん!ケーキ食べなさーい」
一心は一護を飛び蹴りで床に倒し、続いて姿を見せたルキアには、掌を返したような猫なで声でケーキを勧める。
「おじさんのイチゴ、あげようね」
「あ、ありがとうございます…」
「食べさせてあげよう。ほら、お口あけて?…あーん」
一心のアプローチに、ルキアも戸惑い気味。素直に従って良いものか、ためらっていると…。
「いい加減にしろよ、エロオヤジ!」
起き上がった一護が頭上からエルボーをかまし、一心はテーブルに突っ伏した。

「じゃ、とりあえず…、俺達は部屋で食うから」
ケーキの皿を二つ持ち、一護はルキアを促す。
「お皿、後で持ってきてねー?」
無心に微笑んで言う遊子に手を振り返し、一護は後ろ手にリビングのドアを閉めた。
ヒューっと、低く夏梨が口笛を吹く。
「さりげなく誘おうってのが、見え見えだな」
「いいじゃない。お兄ちゃんがやっと、女の子に興味持ったんだから」
遊子が弁護するが、夏梨は鼻先で笑った。
「どうせ、上手くいきっこないよ」
「いやいや…。いざとなれば、父さん譲りの押しとパワーで、何とかなるさ。父さんが、母さんを手に入れたようになっ!」
一心が息巻いたが、娘達は顔を見合わせて笑うばかり。
もちろん、母のことは大好きだが、どうせ一護のでき婚か、あまりのしつこさに呆れ、同情で結婚してくれたと思っているのである。

「ほらよ」
一護が皿をルキアに差し出す。ベッドに腰掛けたルキアは真っ先に、飾りのイチゴにフォークを刺した。
「惜しいな。やはり先程、貰っておけば良かった」
「…ガキみてーなヤツだな。俺の、やるよ」
「何と?本当に良いのか?…だが、この菓子の要となるものではないか。
そう言えば、これは元々、貴様のためのものであるし…」
ひとしきり喜んだ後、取ってつけたようにルキアが訊ねる。
いいよ、黙って食え…と言おうとして、一護にふと、良からぬ考えが浮かぶ。
「まあな。メチャクチャ大事なんだけどよ…。テメーが気になるなら、後で俺に別のもん、くれよ」
「…別の物とは?」
一護のイチゴ(分かり難い!)をぱくつきながら、ルキアが聞き返した。
「気にすんな。まあ、食っちまえよ」
「うむ。相分かった…おお?仕切りの境目にも、薄く切った果物が入って居るぞ」
ケーキをつつき、中にもスライスしたイチゴが入っていると騒ぎ立てる。それはやらんと一護に言われ、ルキアは唇を尖らせた。
「欲しいと申した訳ではない。ただ、事実を申し述べたまで」
「ふん。食いてえって、ツラに書いてあるぜ」
一護は何の気なしに、指先でルキアの頬をつつく。その柔らかさにドキリとして、思わず動きが止まる。
「何を致すか。莫迦者」
「あ…、ああ、悪りぃ…」
かすれた声で返事をして、一護はぎこちなく指を引っ込めた。

結局、ルキアは一護の分までケーキを食べた。皿を二枚重ねて、ルキアが腰を浮かせる。
「皿を返して参ろう」
「いいよ。後で。それより…」
意を決したように、一護が椅子から立ち上がった。
「何だ?」
ルキアを立たせると、顔を上げさせる。もう一度指を伸ばして、鼻先をつついた。
「がっついてるからよー、ここにクリームがついてんだよ。だから、それ…俺にくれよ」
「何だ。そういうことか。あの白いのが欲しいのなら、もっと早くに言えば分けたものを…、お、おい、一護…」
クリームなど、最初からついてはいない。ルキアの鼻先に口を近づけると、軽く噛む仕草をする。
「な、なにを…するか…」
「あー、ここじゃ無かったな」
チュッと音を立てて鼻にキスをし、そのまま少しだけ下に移動する。
頬と同じように…いやいっそう柔らかな、小さくプルンとした、可愛らしいルキアの唇を、軽く吸っては縁をなぞる。
堪らずにルキアが僅かに開いた隙間に、ぐっと舌を滑り込ませた。
唇と同じく口の中も小さくて、狭い。そこを蹂躙するように、ぐいぐいと入り込み、舌を絡ませる。
ひとしきり味わった後に、舌の根元から強く吸った。唾液までも甘い…そう、思う…。

「全く…。急にあのような真似をされては困る」
「…」
鏡を見て、髪を直しながらルキアが怒っている。一護は言葉も無い。
「唇が腫れあがってしまったらどうする。変な顔ではないか!」
どうも、少し違うことで怒っているようだ。
「私が貴様の分まで食べてしまったことを、幼子のように根に持って…、ああまでして取り返そうとしなくても…」
ルキアの言葉に、一護は噴き出した。
「失敬な!何故笑う」
「い、いや…すまねえ。あ、あのさ…、ルキア」
「何だ」
「催促するわけじゃねーけど、今日って、俺の誕生日なんだよな」
「うむ。めでたいな。遊子が祝いの馳走を作ると申して居ったではないか」
「で…、こっちではよ…、何か、プレゼントを贈る習慣があってよ」
一護は頭をかきながら続ける。
「ほう。それでは何か、用意せねばなるまい。現世の金子の持ち合わせは…うーむ、一度、屋敷に戻るか」
「い、いや、いい。そしたら、今日中に戻ってこれるかわかんねーだろ?」
今日でなければ言えないこともある。今日だったら、誕生日のうちなら、多少の図々しさも許してもらえる気がする。

「物はいらねーけどよ。夜また、部屋に来いよな。ルキアにしか出来ねえことで、頼みがある」
「左様か」
ルキアは素直に頷いた。一護はもう、妄想で頭がはち切れそうである。


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