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朽木ルキア大ブレイクの予感パート11 :  ハルキ氏 投稿日:2005/10/13(木) 01:51:02

※続編になります。先にこちらをお読み下さい。


『――散』


今更酒の席に戻るのも気が引けて一人隊舎へと足を向かわせかけていた恋次を、目ざとく見咎めたものがいた。
十三番隊第三席、恋次が最も尊敬している先輩でもある斑目一角その人である。
もっとも、戦闘時の恐ろしいほどの気迫もどこへやらで、今は完全に酔っ払ってしまっているようだが。
「うぉ〜い、恋次ーっ! こっち、こっち!」
また友人の弓親と飲み比べでもしたのか、二人の周囲には空いた酒瓶が山ほど散乱している。
「一角さん、俺、今はちょっと……」
誘いをかわそうとした恋次の言葉もむなしく、一角はずずぃっと彼の元へ接近する。
酒臭い息を恋次の鼻先に吹きかけて、彼は不機嫌そうに声を上げた。
「何だ? 先輩の酒が飲めねぇのか?」
「あ、いえ……」
「そーだろ、そーだよな! よし、お前、こっち座れ」
強引に弓親の待つ席まで連れてこられて、恋次は困り顔でしぶしぶそこに腰を下ろす。
なみなみと酒の注がれた杯を目の前に差し出され、仕方なくそれを手に持った。
少し白濁した液体はなんだか嫌なものを思い起こさせて、恋次はその想像ごと飲み込むように、それを一息に流し込んだ。
予想以上に度数の強かったらしいそれに、喉が焼けるようにひりつく。
それでも、飲みでもせねばやってられないという思いからか、普段以上に杯を空けるペースが速くなる。
頭が朦朧とするのも構わずに、手酌で散々飲み続ける。
大瓶を丸二本は空にしてすっかり泥酔した恋次がふと脇に目をやれば、二人の上司は恋次など気にせず勝手に盛り上がっていた。
俺を呼ぶ必要ははたしてどこにあったのだろうと不貞腐れつつ、彼らの下らない話に何とはなしに耳を傾ける。
「……ってわけであのクソ女がよ、いつまで経っても中々OKしねぇわけよ。これって脈ねぇか?」
「そうなんじゃないの? だって僕みたいに美しければともかく、一角じゃねぇ……」
「黙れ、ナルシストが。……あー、ったく、松本のやつ、いつになったらやらせてくれんだよ! これじゃ、溜まって溜まって破裂しちまう」
「誰か見繕って、適当に処理しちゃえばいいじゃん。っても、ウチの隊、女なんかほとんどゼロだけどさー」
取り留めなく馬鹿話を交わし続ける彼らのその会話に、びくりと恋次の聴覚が刺激される。

『十一番隊は男所帯じゃから、随分と溜まっておるだろう。よければ、私が相手してやるぞ?』
『もっとも、多少の駄賃は貰わねば割に合わんが――』

あれは、ルキアの本心なのだろうか。
本当に、あいつは誰とでも寝るような女になってしまったのだろうか。
確かめたい。確かめたい確かめたい確かめたい確かめたい確かめたい。――確かめたい。

「……なら、相手してくれる女紹介しましょうか」
ぼそっと呟いた恋次のその言葉に、当然のように一角は乗ってきた。
いくつか尋ねられた問いに、恋次が無表情のまま答えを告げる。
それにたいしてにやにやと品があるとは言いがたい笑いを返すと、一角はふらりと立ち上がり、喧騒の中から姿を消した。

――こうして、悲劇の二幕目がゆっくりと動き始めた。
主演女優は、それが開幕してしまったことを知らない。

*          *          *

ルキアはまだ、先刻の場所に立ち呆けていた。
暫く一人にしてほしいと浮竹に告げ、彼がその場を立ち去ってからずっと、ルキアはあの桜の木の下で幽霊のようにぼぉっとしていた。
虚ろげだったその瞳を思わずぴくりと動かさせたのは、背後から聞こえた草を踏みしめる音だった。
誰か来た――。
恋次なのではないかという、期待と不安が混濁した思いで後ろを振り返る。
しかし彼女の振り向いた先にいたのは、あの赤髪の目立つ幼馴染でも、はたまた長い白髪の上司でもなかった。
「よう、朽木」
「斑目殿……? 申し訳ありませんが、今は一人にしてもらえますか」
彼は、ルキアにとってはあまり馴染みの無い男であった。
恋次がひどく尊敬視している相手だというのは聞いたことがあるが、同じ隊になったことも無いのでどんな死神なのかは殆ど知り得なかった。
当然、このように親しげな口を交わされる覚えも無いのだが――。

疑問に感じ、思わず身体に力を込めるルキアの先手を打つように、斑目は彼女の肩に手をかけた。
「そう怖がるなよ。ちぃっとさ、人助けしてもらおうかと思って」
「……はい?」
一体私に何を頼もうというのだろう?
突然言い渡された申し出に、ルキアが不審気に眉を寄せる。
しかし、それを尋ねる前にルキアは一角の長い腕の中に捉えられてしまった。
急に力強く引き寄せられて、前傾姿勢でよろけたルキアが反射的に一角の襟を掴んでしまう。
偶然とはいえしがみ付くような形になってしまったのに気づいてルキアが手を離そうとした瞬間、一角は彼女の肩口に腕を回した。
男の力で束縛されて、ルキアは密着した体勢から逃れることが出来ない。
「やめろ! 何をする!」
「おーおー、俺一応三席なんだけどな。『何をなさるのですやめて下さい』だろ。……まぁ、俺はあんまそういうかたっくるしいの好きじゃねぇからいいけど」
飄々とした掴み所のない口調でそう言って、一角は値踏みするような視線でルキアを見下げる。
わずかに乱れた襟元に見せ付けるように残された誰かの口づけの痕を発見して、彼は小さく笑った。
「うーん、俺としてはもっと胸があるほうがいいんだが」
これだけ肌をすり合わせてもろくに存在感を発揮しない胸に対し不満そうに漏らすと、「ま、贅沢は言ってられねぇか」と続けてルキアを地面に押し倒す。
硬い土の感触とむせ返るような草の匂いが、ルキアを同時に襲った。
「やめろ! やめぬか!」
声の限りに叫んで、全身をじたばたと力任せに揺り動かす。
それに閉口したように一旦顔を顰めてから、一角はルキアに向けて指を立て面倒くさそうに短い呪を唱えた。
「……塞」
その言葉を唱えられた途端、ルキアの身体から風船がしぼむように力がすぅっと抜けていく。
だらんと力なく垂れ下がった両手足を前に、一角はぽりぽりと頭を掻いた。
「あー、俺ちょっと荒っぽいから逃げねぇように。でも、金ならちゃんと渡すから心配すんなって」
「金……金だと……!?」
何を言っているのか分からないという表情でそう口にしたルキアに、一角が先刻恋次から聞いたばかりの台詞を返す。
「『多少の駄賃は貰わねば』だっけか。……伊達に三席じゃねぇんだ。愉しませてくれりゃ礼ははずんでやるぜ」

その言葉に、ルキアの顔が死人のように薄暗く青ざめた。前髪に隠れた額にはうっすらと嫌な汗の粒まで浮かんでいる。
肉体的には最前から抵抗できないとはいえ、その表情はもう抗おうとする気力すらなくなってしまったようだった。
「れん……じ……か? 恋次にそう言われたのか!」
「おお、よく分かってんじゃねぇか。つーか何お前らどういう関係よ? 
てっきり恋人同士かと思ってたんだが、いくらなんでも自分の女、上に差し出しはしねーだろうし」
べらべらと口うるさく喋り続けながらも、一角の手は止まらない。
動けないルキアの代わりに帯を解き、着物を全て脱がせてしまう。
露になった白い肌に、一角は意外そうな、しかし面白そうな顔でひゅぅっと高く口笛を吹いた。
「結構、いい身体じゃねー? 胸が無いのが惜しいけど」
未だ冗談交じりでそんなことを言って、一角はルキアの両胸に手をかけた。
双丘を鷲掴みにした掌にぐいぐいと荒っぽく揉まれ、ルキアが痛々しく眉根を寄せて声を上げる。
「い……痛っ、んんっ……」
「悪いな。俺、あんま女に優しく出来なくてよ」
別段悔いても恥じてもいない調子でそう告げると、一角は尚もルキアの胸を揉みしだいた。
しかし、全く揉みがいの無いサイズのその胸に、グラマラスな女性が好みの彼は段々と飽きてくる。
「柔らかさがどうこう」などとほざきつながら気紛れで乳首につんと触れた瞬間、だが一角は驚いた。
たった一瞬小突いただけで、ルキアは上半身をびくびくと震わせて「はぁっ!」と嬌声を上げたのだ。
元々の特性なのか浮竹にそう仕込まれたからなのか、どちらにしろルキアは男の持つサディスティックな部分を活発にさせる少女だった。
苛めてやりたいとか泣かせてみたいとか、そう思わせてしまう何かがルキアには存在していた。
「あー、成る程! これが小せぇ胸の利点ってやつか」
一人頷いて、一角はルキアのそこを指先で弄り始めた。
とはいっても、浮竹のような巧緻に溢れた繊細な指遣いではない。
どちらかといえば野趣的なそれは、さながら肉食の獰猛な獣が狩りをするのに似ていた。
爪で悪戯に押しつぶし、引っ掻き、摘んで限界を試すようにぎりぎりまで引っ張ってみる。
その激痛に近い刺されるような刺激に、それでもルキアの身体は反応し悦んでしまうのだった。

「……や、めっ、ふぁ……やめ、……ひ、ひゃぁっ!」
たった一言『やめろ』と叫ぶことすら出来ずに、ルキアは快感のまま喘ぎ続ける。
己の意思では微塵も動けないくせに、生理的な反応にだけは忠実に身体をひくひくと反らせてしまう。
その官能的なルキアの姿を目前にして、一角が股間の欲望を熱く膨らませた。
「手だけでこんなじゃ、口でしてやったらどうなんだろうな?」
嫌らしい好奇心に目を細めて、一角はルキアのそこに唇を寄せる。
いきなり奥歯を用いてかりっと噛んでやると、ルキアは「うぅっ」と切ない声で呻いた。
彼女の素直な反応に気を良くしたのか、一角は口と右手とを使って左右の胸を同時に甚振る。
ぺろぺろといたわる様に優しく舌先で嬲られながら、もう片方は荒い手つきで捻り上げられる。
そのアンバランスな二つの刺激が、同じ瞬間に行われることで何倍にも感覚をましてルキアの神経に襲い掛かってくる。
「ひ、ぁっ……ん、ぁあぁっ!」
仰け反って目を白黒とさせるルキアに、一角は彼女がその胸への責め苦だけ達してしまったのだと理解する。
こんなに感度のいい女は初めてだと、一角は予想以上に愉しませてくれるルキアの首筋に強く吸い付いた。
「お前、結構イイのな。松本より、お前に狙い替えっかな」
鎖骨の上についていたキスマークは誰のものだろうなどと考えながらそう言うと、ルキアは無言でぺっと天へ向けて唾を吐き上げた。
その唾液が、彼女に覆いかぶさっていた一角の頬をべっとりと汚す。
「……何しやがる」
その声にも黙して応えようとしないルキアに、ぎりぎりのところで平静を保っていたらしい一角がとうとう牙を向いた。
元々喧嘩っ早い性格である上、今は花見酒のせいで相当に酔っ払って理性を半分以上失っている状態である。
身を竦めさせるほどに低い地鳴りに似た声で、彼はルキアの耳元へ告げた。
「男舐めると、恐いぜ?」

*          *          *

木立の奥から、小さな小さな声がした気がした。
怪物映画で最初に殺される三流役者のように陳腐な、けれど生々しい女の悲鳴。
周りを見渡すと誰も聞いていないか、聞こえていても特に気にはしていないようだった。
けれど阿散井恋次だけは、それを耳にした瞬間激しい後悔の念に襲われた。
(……俺はルキアに何をさせようとしてるんだ?)
一角の腕の中で自分から巧みに腰を使ってみせる娼婦のようなルキアと、嫌がって暴れながら泣き喚く少女のようなルキア。
二つの像が頭の中を浮かんでは消えを繰り返し、結局残ったのは――。
(そう……だ。あいつがそんな奴なわけねぇ。そんなの、俺が一番分かってるはずだろうが!)
そう思った瞬間に足が動き出していた。一角の消えた方向へと、恋次は全力で疾走した。

*          *          *

初めて見る男の猛った性器に、ルキアは目を見開いて恐怖していた。
指とは比べ物にならないほど太く尖ったそれは、まるでルキアの内部を抉る刃先の鋭いナイフのように思えた。
それを無理やり動かすことの出来ない手に握らされて、ナメクジに背中を這われているような嫌悪感が生じる。
「本当は自分から手ぇ動かして欲しいけど、縛道解いたら暴れるだろうし。仕方ねぇな」
そう言うと一角は、ルキアの手に己の掌を覆い被せてぐちゅぐちゅとそれを扱き立てた。
縛道で拘束された身体には、意思こそ宿らないものの感覚はしっかり残っている。
だから、熱い男性器の感触とそこからだらだらと流れ出る先走りの液との気色悪い感触は、触れているルキアの手にしっかりと残される。
無理に絡めさせられた指から感じる硬さが、掌をべとべとと濡らす粘液が、全身を震わせるほどに気持ち悪かった。
嫌だ嫌だと思うのに、脳の命令を肉体が微塵も聞いてくれない。
一角に促されるまま、ルキアの手は淫らにそれを愛撫した。
筒状にした手を上下に往復させ何度も擦り上げるたびに、一段一段、それが大きさを増していくのが分かる。
全身を総毛立たせる感触にもうやめたいと心の中で強烈に思った瞬間、その願いは至極唐突に叶った。
一角が、耐え切れず精液を放ったのだ。
勢いよく発射したその白濁液が、ルキアの手をだくだくと汚していく。

自慢の黒髪にまで付着してしまったそれはひどく臭くて、ルキアは怯えと嫌悪との混合された表情を作る。
「い、嫌だ……」
思わずそう呟いてしまうほど強く、ルキアは精神的なショックを受けた。
「一回出したし、次は本番か。今度はこんな程度じゃねーぜ、朽木」
精液に汚れたルキアの顔を見て興奮が冷めないのか、すぐさまムクムクと形を変えていく自身を軽く撫でて、一角は嗜虐的に笑った。
それを、ろくに愛撫もしていないルキアの秘所に押し当てる。
わざわざ濡らしてやらないのは、犯す最中に痛がって泣く彼女を見てやろうというくらい欲望の現われだった。
そのままそこへ性器を一気に押し入れようとした瞬間、しかし一角は背中にひどい圧力を感じた。
何か底知れぬ者が後ろにいるのを感じて、彼は恐る恐るそぅっとそちらに振り返る。
そこに立っていた男は、その場の空気の全てを一変させるだけの力を持っていた。
しかしその男とは、阿散井恋次ではなかった。
「…………俺の部下に何をしている?」
十三番隊隊長・浮竹十四郎が、そこにはいた。
しかしそれが浮竹であるとは到底思えないほどにそう口にした彼の形相は恐ろしく、まるで一匹の鬼のようだった。
誰も、こんな浮竹の姿は見たことがなかっただろう。
あるいは、過去に目にした者達はみな一人残らず殺されているのかもしれない。
そう思えるほどまでに浮竹の表情は険しく、視線だけでも射殺されてしまいそうだった。
「一角。お願いだから、今すぐ消えてくれ」
囁くように、けれどどうしてかはっきりと耳に残る音で、浮竹は一角に告げた。
「そうでないと、俺はお前にこれを抜いてしまう」
『これ』と言いながら腰の刀に手をかける浮竹に、一角が表情を凍らせる。
彼の斬魄刀がどれほど強力なものかくらいは、他隊の隊員である一角にも予想がついた。
そして、こんなところで使えば隊長格でも処罰されかねないその武器を、わざわざ『抜く』と宣言する、彼の怒り具合も。
犬のように這ってその場から離れる一角が欠片も見えなくなるまで、浮竹はその気圧されそうな表情を続けていた。
しかし一角が視界から消えた途端、彼はふっと緊張の糸を緩め、すまなそうな顔をルキアに向ける。

「本当は、もっと急ぎたかったんだが……ごめんな、怖かったろ」
「たい、……ちょ……っ」
その優しい顔に、思わずひくっとしゃくり上げてしまう。
どうしてだろう。私にやっていることは一角もこの人も大差ないはずなのに、何故今私はこんなにも安心しているのだろう。
「こ、こわ……くてっ、私っ、逃げたかったんです……でも、むり、やり……」
浮竹の胸に飛び込んでそう小声で放つルキアの髪を、彼の大きな手がくしゃりと暖かく撫でてくれる。
その手つきに妙に力が無いのに、ルキアはふと気づいた。
こんな時だから触れないよう遠慮しているのかと思ったが、どうやら違うようだ。
暗さと先ほどまでの動揺で分からなかったが、よくよく見れば、彼の羽織には今吐いたばかりらしき鮮血がべったりとこびり付いていた。
「浮竹隊長! ……血が!」
「いつもの発作だ。別に心配するような事じゃない」
「でも……」
血を吐くような体調だったのに自分を救いに来てくれたことに感謝しつつも、素直に喜べない気持ちが先立つ。
どうしてこの人はこんなにも私などに拘るのだろうと、それが分からなくてルキアはいたく頭を混乱させた。
そんなルキアの表情に、浮竹が小さく嘆息してから全力を込めて叫ぶように言い放った。
「俺なんかの事より、もっと自分を大切にしろ!」
大声でそう怒鳴られて目をぱちくりと瞬かせると、ルキアは嘲るようにぽそりと呟いた。
「私は、そんな大層な存在ではありません」
しかしその卑下するような台詞にも、浮竹は初めから予想していたといった顔つきで答え返す。
「俺にとっては、世界よりも大層な女さ。……いいか。お前を傷つけるような者がいたら、俺はきっとそいつにこの刃を向ける……」
何かを決心しているような確固たる瞳で、浮竹はその台詞の残りを告げた。
「たとえそれが、己の師であっても」


*          *          *


出て行くことも出来なかった。
哀れなピエロは、王子様が姫を助け出すのをただ横で見ているしかなかったのだ。

馬鹿だ。好きな女を自分から危険にさせて、結局怖くなって助けに行って。
……けれど、そこでも何も出来なくて。
酔っていたなんて、理由にならない。
苛立っていたなんて、言い訳にならない。
……こんな馬鹿がルキアを幸せにするだなんて、笑い話にすらならねえ。
けれどこれで、もう諦めがついた気がする。
あいつには、俺なんか比べ物にならない人がついていてくれている。
家柄も収入も地位も強さも、何もかも俺より上のあの人が。
だからもう、俺がいなくても大丈夫だ。
俺なんか、いなくても。


――満開の桜の下、抱き合う二人は本当にお似合いに見えた。
俺はそれを見つめながら、声に出さず、唇だけで『ごめんな』と形作った。


(完)



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