朽木ルキア大ブレイクの予感パート10 :  16氏 投稿日:2005/05/17(火) 21:07:37


『即死回避海ルキ』


下がれ、そう言われて私は大人しく頭をたれた。
襖に手をかけ、静かに引こうとしたその時。
「実力で席官になれないのなら…どうすれば良いか解かっておるな?」
兄様は私に背を向けたままこう言い放った。
はっとして頭を上げる。
言葉の意味が解からない。
兄様は依然として壁の方を向いたまま続ける。

「毎晩、教えたであろう」


冷や汗が頬を伝い、ぽたりと畳に落ちる。
兄様の意図を、私は完全に理解した。
朽木家に引き取られて以来、一晩も欠かさず-----私が兄様に教えられたことを。
肉体での奉仕により相手を悦ばせることを。
この方は私に、自らの身体を売って席官につけと言っているのだ。
「上位席官でも隊長格でも誰でも良い。私直々にあれだけ教え込んだのだ。それくらい造作も有るまい」
最も浮竹はそのような事に応じるとは思えんがな、と兄様が付け加える。

頭は真っ白だったが、私に許された返事はひとつしかない事は明白だった。
震える手を握り締めて、絞り出すような声で私は言った。
「----…承知…いたしました…」
視界が襖で完全に遮られるその時まで、兄様がこちらを振り向く事は無かった。


結局私は兄様の飼い猫でしかなかったという事か。
苦痛であった行為の中にも、兄様に独占されているという僅かな喜びを感じていた自分は、なんと浅はかだったのだろう。
それでも成さねばなるまい。
私の居場所はもう、ここ以外に無いのだから。


翌朝。
意を決してとりあえず隊舎まで来たものの、一体どうすれば良いのか。
私は何をするでもなく壁にもたれて、昨日の夜から幾度目になるか知れない溜め息をついた。
私が十三番隊の中で存じている死神はまだ2人しか居ない。
浮竹隊長と-------
「…海燕殿--------…」

「呼んだか?」

「ひぃっ!?」
突然の声に私は思わず みっともない悲鳴を上げ飛び上がってしまった。
「よぉ、朽木」
振り向くとそこには
なんとタイミングの悪い事か-----
「か…海燕殿…っ」

「そんなに驚くことねぇだろ。相変わらず肝っ玉の小せぇやつだな。」
こちらの心の内など知るはずもなく、海燕殿はいつも通りの笑顔を私に向ける。
そんな海燕殿の様子に、私は少し苛立ちを覚えた。

「な…!突然声をかけられれば誰だって驚きます!」

「俺だって突然名前呼ばれりゃ驚くってんだよ!
 で?なんか俺に用事でもあんのか?」

「い、いえ…別に…」
海燕殿の顔を直視できず、口ごもり、俯いてしまった。


(未完)