朽木ルキア大ブレイクの予感パート9 :  639氏 投稿日:2005/04/30(土) 01:40:48


『吉良ルキ


「あれ、朽木さん…?」
ある晴れた春の昼下がり、三番隊副隊長・吉良イヅルは歩みを止めた。
廊下の向こうに学生時代の頃から見知った顔を見つけたからだ。
直ぐに声を掛けようとしたが思い留まる。
彼女は最早、自分達とは立場が違うことを思い出したからだ。
大貴族朽木家当主の妹君。
いくら仕事上の立場は吉良の方が上だと言っても、やはりそう気軽に声を掛けて良い女性ではない。
吉良はそう考え、そのまま通り過ぎようとした。
素通りというのも失礼なので、すれ違い様に軽く会釈をする。
いや、しようと思った、その矢先。
ルキアの足許が崩れた。そのまま力無く倒れこもうとするルキアを、吉良は咄嗟に受け止める。
「朽木さん!?」
吉良の腕に受け止められたルキアは、気を失っていた。
少し身体が火照っている。熱があるようだ。
暫く吉良の頭に書類の納期や詰っている仕事の事が駆け巡ったが、目の前で倒れている女性を放っておく訳にはいかない。
とりあえずは四番隊へ連れて行こうと、吉良はルキアを抱えて立ち上がった。

「ここ、は…?」
救護室のベッドの上で昏々と眠り続けていたルキアが、目を覚ました。
しばらく焦点の合わない目で染みひとつない真っ白な天井を見つめていたが、突然弾かれたように身体を起こす。
「四番隊…救護室…」
「ああ、目が覚めた?」
水の入った湯呑みを持って、吉良が部屋に入って来た。
吉良は笑顔のままベッドの横の椅子に座り、湯呑みをルキアに手渡した。
「吉良副隊長…」
「いいよ、学生の頃みたいに『吉良』で」
「いえそのような事は…もしや副隊長が私を?」
「突然倒れたんだよ。もう大丈夫かい、熱は下がったみたいだけど」
「はい。最近寝不足で…疲れが溜まっていたようです」
ルキアは申し訳なさそうに、不甲斐ない自分に呆れたように笑った。
その寂しい笑みに、吉良は眉根を寄せた。
「仕事は大変かい?」
ルキアに優しく問いかける。
「仕事自体よりも……ッ…何でもありません!」
「え、何か辛い事があるの?」
顔を真っ赤にさせて俯くルキアに吉良が焦る。

「僕でよかったら力になるよ!倒れる程大変な事なんて…」
「違う!違うのだ、吉良!!」
ここ最近、連日新発売されるうさぎのチャッピーグッズの為に夜中から店に並んでいるなんて、
そのせいで寝不足だなんて副隊長に言える訳がない。
真っ赤なルキアも慌ててあわあわと手を横に振る。
その拍子にルキアが持っていた湯呑みの水が零れた。
吉良が急いで手拭いを探す。
「あはは、大丈夫?…ようやく学生の時みたいに呼んでくれたね」
そう言いながら見つけた手拭いを差し出そうと、吉良はルキアの方を向いた。
「あ…」
途端、吉良の顔も真っ赤に染まった。
手拭いを差し出した手もそのままに、じっと固まってルキアを見つめている。
「え?何…」
ルキアは吉良の視線の先、水で濡れている自分の身体を見下ろした。
「きゃああぁぁっ!?」
ベッドに入る際、死覇装を脱がされていたらしい。薄い襦袢しか着ていなかったのが災いした。
…透けている。

「み、見るな!あっちを向け!!吉良!」
「ああああ、う、うん!」
ようやく正気を取り戻した吉良は、もの凄い勢いで後ろを向いた。
ルキアは急いでシーツを身体に巻き付ける。
「…もう平気?」
「ああ、…すまない。大丈夫だ」
「…」
「…」
沈黙が流れる。
今まで異性としてお互いを見た事はあまり無かったが、成長した今あんな事が起こってはどうしても意識せざるを得ない。
「すまない、吉良。着替えたいからこの部屋から出…」
「そっち向いてもいい?」
吉良がルキアの言葉を遮る。
「いや、こんな状態では…」
「見たい。朽木さんを」
そう言うやいなや、吉良が振り返る。
「それ、取って見せてよ」
吉良の顔が近づいてきて、ルキアは唇を塞がれた。

あっけにとられている間に、シーツがルキアの身体から取り去られる。
シーツと一緒に襦袢が肌蹴けて、小ぶりな胸が露わにされた。
口の中を吉良の舌で舐めまわされ、息ができない。
「ぷはぁ…ッ」
やっと開放された時には息が上がっていた。
はぁはぁと呼吸を繰り返すルキアを見て、吉良が背中を撫ぜた。
「この…馬鹿者が!何をする!」
ルキアは涙目で吉良を見上げ、睨んだ。
しかし自らの状態を思い出し、急いでベッドに伏せて身体を隠す。
「ごめん、朽木さん。でも…凄く可愛い」
ギシ、と吉良がベッドに座る音がする。
ルキアに手が伸び、中途半端に肌蹴ていただけの襦袢が腰紐の辺りまで脱がされる。
ビクッと身を縮めるルキアの背中を、手は優しく撫ぜた。
「吉良、これ以上は…」
「お願いだ、少しだけ…」
吉良の唇が背中に触れる。
「あ、ぁ…」
柔らかく湿った感触の舌が、背中を這い回る。
舐め上げられる度に、身体がビクビクと反応する。

枕をぎゅっと握るルキアの小さな白い手に、吉良の大きな手が被さった。
もう片方の吉良の手はルキアの小ぶりな胸を包み込む。
優しくそれを揉みしだくと、ルキアの背が撓った。
「柔らかいね。…気持ちいいよ、朽木さん」
滑らかな背中に口付け、思わず軽く噛み付いてしまう。
真っ白なそこに、猥らな紅い跡が出来る。
「やめ、吉良ぁ、あぅ…!」
敏感な胸の突起に指が触れると声を抑える仕草をするルキアに、吉良も昂ってくる。
吉良の昂りが、ルキアの太ももに当たった。
何故か、ルキアは自分の胸が高鳴ったのを感じた。
もうだめだ、流されてしまうとルキアが諦めかけたその瞬間。
「…着替え持って来るね」
吉良が突然ルキアを離した。
「え…」
急ぎ足で部屋を出て行く吉良を放心したまま見送る。
しばらく声も出なかった。
のろのろと肌蹴てしまった襦袢を着直す。
水は、乾いてしまったようだ。

「何なのだ、あやつ…」
いきなり触れてきた吉良も信じられなかったが
少しだけ流されてもいいかな、などと思った自分が一番信じられない。
上がった息のまま、ルキアは布団の中に潜り込んだ。
吉良が戻って来たら寝たふりでもしようと考えながら。

「僕は…」
吉良は救護室を出た後、すぐに2つ隣にあった空き部屋に駆け込んだ。
「何をしているんだ…」
壁に寄りかかり、ずるりと座りこむ。
突然の自分の行動が止められなかった。
「病人に手を出すなんて、…朽木さんに手を出すなんて、…」
動揺が隠せない。
今まで確かに可愛らしい女性だとは思っていたが、先程自分が抱いた思いは。

(ただの女性に抱く情欲とは、違った気がする…)

今頃になって襲ってくる後悔。
彼女の綺麗な背中を見ている時は、ただただ夢中にそれを貪っていた。
「最低だ…」
少しだけ、自分の気持ちに気がついた気がした。


(完)