朽木ルキア大ブレイクの予感パート5 :  ◆BvNjgonnTI氏 投稿日:03/10/20 02:15


『一護×ルキア』


何がどーなって現在に至るかなんて説明はメンドイし、
何より小難しい単語ばかりで俺だって他人に説明できるほどよく分かっちゃいねぇ。

ルキアの捕らえられてる牢にたどり着きつかの間の再会を果たすも、
背後からルキアの義兄・白哉にいきなり斬りつけられた時はもう終わったと思ったが、
藍染とかいうオッサンが仲介役になって、なんだかニコニコしながら俺と白哉の交わった剣先を離れさせ、
その後何が起こったのか知らねーが、とにかくルキアは釈放された。
ちょっとユズに雰囲気の似た死神が泣きながら藍染ってヤツに抱きついてたが、
どうやら死神の間でも色恋はあるらしいとそんなこんなで知った。

そして現在。俺は朽木家の客間に通され、ドアの前に何人も警護がいるもののルキアと二人きりだ。

チャドや井上は別の客間で、一部屋に全員一緒にいるらしい。
俺が一部屋与えられたのは、「ルキア様からのご要請で」、だそうだ。


「兄様が、すまないとお前に伝えてくれと言ってらした。」

「へっ?」

朽木白哉の冷たい俺を切り殺す気満々の瞳から、どうしてそんな言葉が生まれたのかが想像できず素っ頓狂な声を上げる。

「いきなり斬りつけて悪かった、と。」

この時の俺は知らなかったが、どうやら俺がルキアに情けなくも抱きついてしまったことが主な原因で、
俺は斬られたらしい。
実は白哉も、ルキアを脱獄させるためにあの時牢に入ってきたらしいのだ。


「…ま、気にしてねーけどよ。」

さすが御貴族様である朽木家の専属医療班は大変腕が良く、体中の痛みはほとんど取り除かれていた。


「ルキア。」

呼ぶと、ルキアは俯いていた顔をあげ、俺の顔を見つめる。
大きな黒い瞳に俺の顔が映って、とても、嬉しかった。

―――ルキアはここにいる。俺はルキアのそばにいる。

「…、俺って、オマエのことなんも知らなかったんだな。
 普段俺んちの押入れで寝てたオマエがこんな金持ちの家に住んでるなんて想像も出来なかったぜ!」

妙にしんみりした気持ちになってしまいそうで、わざと明るく振舞う。
そうしてなかったら、俺はこいつを抱きしめて、もう二度と離れたくなくなっちまう。


 『 黒崎一護以下三名、明日中に尸魂界から退出すること。
   尚その際の移動手段はこちらで手配する。 』

あの冷酷な瞳で白哉が言ったのが思い出される。
その後に続いたのは『せいぜい、今夜は別れを惜しむがいい。』、これは最高の皮肉だろう。
ちなみに、どうやら夜一さんはこっちの世界がいるべき場所らしく、当分禁固刑だと聞いた。

「養女として…兄様の"玩具"として招かれただけだがな。」

ルキアはそう言って、苦笑しながら再び俯いた。
俺が最高にピエロになってやってるのに、どうしてもこの生意気女はシリアスモードに突入させたいらしい。
俺に今求められているのはなんだ、再び"兄様の玩具"になるルキアを「俺はオマエを女として…」云々、歯の浮くような台詞を言えってのか?ああ?

「でも…一護、貴様は強くなったではないか。」

「お、おう。10日間もあのゲタ帽子と修行してたからよ!」

「そうか…。」

…ちっくしょ。
なんでこの女は今まで俺がシリアスに抱きしめた時は皮肉に皮肉を重ね茶化し続けてきたのに、
俺がちょっとそーゆーことをあまりしたくない時に限って抱きしめて欲しそうなツラをするんだ。

(いや…したくない、ワケじゃねぇ。)

多分ここで、思い出に残るようなセックス、ってヤツをするのが大人なんだろう。
5つ離れた妹の服がピッタリで、ほとんどまっ平らな乳しかねーくせして、
それでも中身は大人なルキアは多分そういうのを待ち望んでる。
だけど俺は、ただの15のガキだ。
今ヤッちまったらもう二度と離れたくなくなるに決まってる。
だから俺は断固として、今日は、そして、もう二度とルキアの肌には触れないと決めたのだ。

そんな俺を知ってか知らずか、いやきっと知らず、ルキアは俺だけに個室を与え、
そして深夜、一人で俺に逢いにきた。
長いことの牢生活のおかげで以前よりさらに細くなり、
黙って俯いてるおかげで普段の何倍も儚く可憐に見えてしまう。
おかげで、抱きしめたい。そんな欲望に駆られる。

そしてそれは、抑えると決めている。

「一護…。」

なのに。

一度もこんなことはなかった状況に、不覚にも心臓の動きは早まった。
ふ、と倒れるように俺に寄りかかってきたルキアから感じた体温が、体中に広がる。

クソ…っ。

「な、なんだよ。」

「もう、逢えぬのだな。」

ルキアの細い肩に回しそうになった手を、触れる寸前空中で止めた。
現世に帰るときには記憶を全て消すと言われた。
尸魂界でのことはもちろん、死神に関することの記憶全てを、完全に消す。
そして有難いことに、俺が元から持ち合わせていた「霊を見る能力」や
「死神のチカラ」すらを消すと伝えられた。

つまりは俺はルキアのことを忘れ、ルキアと再び出逢う可能性も消されたってワケだ。
ハッ。素晴らしい配慮だ尸魂界。

「私は、貴様…一護に逢えて、本当に良かったよ。」

―――嗚呼お願いだから、そんな泣きそうな顔で無理して笑わないでくれ。


「記憶が消されて、お前が私のことを覚えていなくとも…
 お前が死んだら私自らが魂葬に向かってやろう。」

空中で止めていた手を止めていたタガは、外れた。



抱きしめて唇を貪る。どうなったっていい。後で苦しくったってかまわない。
別れが辛くなるかもしれない。それでもいい。
ルキアを忘れる?覚えてりゃいー話だ。成績上位者の黒崎一護の記憶脳を舐めんなよ。
ルキアが見えなくなる?ンなもんどうにでもなるに決まってる。

現に、絶対に覆らないと言われていた審判は覆り、
極刑が決まっていたルキアは釈放されて今、俺の腕の中にいる。
大丈夫だ、ルキア。俺は絶対にお前を忘れないし、お前が見えなくなることもない。

二人を繋いだ粘液の糸が途切た。
うっすら上気したルキアの瞳を見つめ、そしてそこに映る自分にも言い聞かせるように言った。

「俺は糞生意気な口の悪い、初めて逢った死神を忘れねーよ。
 俺は、自分が初めて好きんなった女を忘れるほどちゃらんぽらんに出来てねぇんだよ。」

ルキアが何か言おうとしたが唇をふさぐ。
この体を作ってる細胞一つ一つに、ルキアの存在を叩き込む。
そしたら運悪く俺の脳が忘れたとしても、60兆個もあるらしい細胞のうち、
ひとつくらいは覚えているだろう。

畳の上に敷かれた干したばかりだと思われる柔らかい布団の上にルキアを押し倒し、体を密着させたままキスを続ける。
少しでもルキアが見たくて、決して目を閉じない。
うっとりと目を閉じ、少し物悲しい色を含んだ表情にムラムラと、さらに欲情する。

「好きだルキア。」

言える暇があったら、何度も繰り返す。
キスの途中の息継ぎの時、ルキアの薄い胸の先端の桜色の突起に口付ける前、後。
ルキアの体に俺と交わったという紅い徴を残した時。

「耳にタコが出来るぞ。」
ついには苦笑されたが、それでも俺の気はすまなかった。

「も…っ、言わなくて…いいから、一護…っ」
指で慣らす必要もなく潤ったルキアのソコに俺が入りきったときに、ついにルキアは言った。


「だから…口付けていて、くれぬか…?」

腰を動かすたびに湿った音が響くが、
それ以上に耳に響くのは口内で激しく絡み合う俺とルキアの舌の音だった。

(好きだルキア…!)

行為に夢中になり真っ白になった頭でなおも繰り返す。

好きだルキア。お前を忘れるワケねぇよ。忘れられねぇ。
たとえお前が持ってた変な機械でランダムに作られた嘘の記憶を植え付けられたとしても、
井上は兄貴のことを思い出したし、チャドも石田も、お前のためにココまできてやってんだ。
一番長くお前といて、一番お前を知ってる俺が、お前のことを忘れるワケないじゃないか…。

「んっ、はぁっ…っ、いちご、いちごぉっ…っ!!」

お互いの口の位置を合わせることが困難なほど腰を動かすと、
キスの代わりにルキアは何度も俺の名前を呼んだ。
ギリギリと、快感からかそれとも他の感情からか、ルキアのツメが俺の背中に突き立てられ痕を残す。

「好きだ…ルキアっ、好きだ…ッ!!」

ルキアのナカが、俺の精を搾り取るように収縮する。

「…っ、」
低いうめきと共に、俺は果てた。

翌朝、ルキアは見送りには現れず、俺は阿散井恋次副隊長率いる六番隊の面々に周りを取り囲まれ尸魂界を後にした。

「ルキアからの伝言だ。」

阿散井恋次は記憶を消す前に、俺に言った。


「翡翠のエルミタージュの新刊が出たら取りに来るから窓辺に置いておけ、だとよ。」





蒸し暑い体育館で大変つまらない校長の話を何とか眠らずに聞き終え、教室に戻る。

「いぃぃぃちぃぃぃごぉぉぉ…!!!」
宿題をためまくり、ここ3日それを片付けるために徹夜だったと言っていた浅野が
涙をダラダラ垂らしながらこのクソあっちぃのに抱きついてきて、
俺は問答無用で蹴りつけた。
「なんだよ浅野。宿題なら見せてやんねーぞ。」
それでもへこたれず、浅野は脚にすがりつき、土下座をする。
「そこを何とか!な!HR終わったら暇だろ?写させてくれよー。一緒にどっか喫茶店でも入って、な!」
「駄目だぁ、っつってんだろ!今日は放課後用事があんだよ!」
「あれ、何一護。デート?」
こんがり小麦色に焼けた水色が話に割り込む。
「違ぇって。…妹に、ちょっと買い物頼まれてな。」
"妹"という単語にチャドが反応したが、俺はあえて無視した。
つい先日カリンに
『オッサンって何処に住んでんの?夏休み中ずっと見てなかったけどオッサン最近元気?』
などと問い詰められてから、俺はチャドに対して冷たい態度を取ることに決めている。
アイツは良い友達だが、義弟にはふさわしくない。
「それもパシらせて頂きますから一護様ァ…!!お慈悲を!!!」
「だぁー!ウザい、お前ウザいっ!離れろ!!
 あんな恥ずかしいモノを一護が買うなんて…って思われたくねーからお前にだけは絶対パシらせんっ!!!」

「何、エロ本でも買うの?」
「たつきちゃんっ!!」
幾度足蹴にしてもまとわりつく浅野の対応で手一杯だった俺の気付かぬうちに、背後にはたつきと井上が立っていた。
腕の怪我は治り、先ほどの始業式で準優勝トロフィーをもらっていたたつきは少し不機嫌そうだ。
「ち…っ、ちげーよ!翡翠のエルミタージュってワケわかんねぇ少女ホラー漫画買うんだよ!!」
弁解とは言え思わず言ってしまい、口をおさえる。
そこにいた全員が俺の口から出た「少女ホラー漫画」に言葉を失い、ただ一人、教室の端で裁縫していた石田がふきだした。
「あーっ!!!石田今笑ったな!?」

「ほーらほらいつまでも騒いでないで席につく!黒崎!!少女ホラー漫画は放課後にしろ!」
越知さんの声でクラス全員が笑い出し、席につく。
一躍「少女ホラー漫画好き」というレッテルが張り付いてしまった俺にはそのレッテルを剥がす暇も与えられない。
「転入生紹介して、提出物出してもらったら帰って良いからなー。」

越智さんの「転入生」という言葉に、「そういえば」と前置きが置かれ後ろの席の女子二人の会話が始まる。

「さっき職員室言ったら、こーんなデッカイ男子二人と、
 すごくちっちゃくて綺麗な子が、先生と話してたよー。」
「マジ?男子どんなカンジ?カッコイイ?」
「んー…、超美形の長髪の人と、もう一人はなんかヤンキーっぽかったんだけど、
 それが変な眉毛で面白くって…。」


ガラリと教室のドアが開き、一人の女子生徒が教卓へと上がり、
越智さんの隣に立ちおっとりとこう言った。


「朽木ルキア、と申します。」

「っあー!!!!?」
「なんだ石田、井上、黒崎に茶渡、知り合いか?」

俺たち4人は漏れなく立ち上がり、チャド以外の3人が叫び声を上げたために越知さんが驚いて言う。
「いえ、」とその場を取り繕おうとした時、ガラス戸が割れんばかりの大声が隣の教室から響いた。


「転入生、名前は阿散井恋次、よろしくお願いします!!!」

放課後、3年のクラスに「朽木白哉」という生徒が転入したことを、俺は知ることになる。
惚れた女と、幼馴染と義兄という2つのデカい障害に、囲まれて。
そして更には、「私が頭を下げてまでして、記憶消去を取りやめてもらったのだ。」と「朽木先輩」に言われ、
何故だか俺は1ヶ月間のパシリが決定されていた。

「現世での高等学校の先輩後輩関係は『ぱしり』というもので成り立っているのであろう?」
ルキアの目は得意げに、輝いていた。


(完)