朽木ルキア大ブレイクの予感パート8 :  786氏 投稿日:05/01/10 02:01:27


「……あぁっ…!!」
弱いところを攻められて思わず声が漏れる。
その瞬間動きは止められた。
「なんど言ったらわかる?声を出す女は嫌いだと言ったはずだろう…」
「も…申し訳ありません兄様…」
一体この人は何のために私を抱くのだろう?
ただ単に性欲を満たすためだけだろうか。
だったら私でなくても周りには美しく、素直に服従する女はいくらでもいるだろうに。

「…なんだ。そんなに欲しいのか。女の方から誘うとははしたない…所詮は卑しい身分の生まれか」
気づかないうちに腰が動いてしまっていたらしい。
先ほどから嫌というほど最奥まで貫かれている。
自分の体がこの人に芯から慣らされてしまったことに思い知らされる。
「ならば強請ってみろ。雌犬のようにな」
私は何もいわずに四つん這いになって、秘部をさらす。
そうすると満足したのか、腰をつかむと自分のものを突き入れてきた。
「〜〜〜〜っっっ!!!」
私は声を出さないように脱がされた着物の端を噛む。
こんなふうに必死で耐える様がこの人を欲情させるのだ。

外は雪が降り続ける。
秘め事を隠すように。

「ふぅ…」
真央霊術院の門を出たところでため息がひとつ。
朽木家に引き取られて半年。
兄に抱かれてから3ヶ月程か。
自分が従順に従っている理由がよくわからない。
嫌ならば、なにもかも捨てて流魂街に戻ればいいのだ。
今の状態よりは、前の生活のほうが精神的にはずっといい。
なのになぜこの場所にい続けるのだろう。

「ルキア」
声だけで凍りつきそうになった。
「兄様…」
「今帰りか、ならば共に参るか」
「はい」
ただ無言で歩く。
夕方に降り止んだ雪は道を白く埋めていた。
歩くたびにさくさくと軽い音をたてる。
兄がつけた足跡を見つつ歩いていると、ふと赤い点があることに気がついた。
「?」
ふと見ると赤い花が咲いていた。
真っ白な世界の中に突然現れた色。

「どうしたルキア」
「あ…あのきれいだと思って…」
「ああ…寒椿か」
「かんつばきというのですか?」
「花の名も知らないのか」
少し驚いた顔をして言われた。
あぁまた。私はこの人を失望させた。
前から誰かと比べられていると気がついていた。
その人と違うところが見つかるたびに、私は心も体もこの人によって傷つけられる。
あなたは私に何を求めるのでしょう。
私はあなたを満たすことは永遠にできないのに。
私は何?
私は…

また今日も夜が来る。
世界から色が消える時間が来るのだ。

院で出された宿題を終わらせ、気がつくと真夜中になっていた。
「今日はもう来ないかな…?」
いつもならもう布団に押し付けられているころだ。
ちょっと安心したのと同時に、寂しさを感じた自分が可笑しかった。

パサッ

ふすまの外で小さな音がした。
「?…なんだろう…」
ふすまをほんの少しだけ開けて外を覗き込むと、いきなり鮮やかな赤が目に入った。
雪で真っ白になっている庭は月の光を受けて青白く光り、そこに一輪、寒椿が落ちていたのだ。
あまりの美しさに息を呑んだ。
「…風邪をひくぞ」
「えっ?」
気がつくと兄が自分の後ろにいて、驚いて何も言えずにいる私の肩に自分の羽織を掛けて、庭に降りて寒椿を取リあげた。

「初めて知った花の名か…」
そうつぶやくと、雪に落ちていた寒椿を私の髪に挿した。
兄の表情は暗くてよく見えなかったが、悲しげだったが微かに微笑んでいるようにも見えた。

「兄様…?どうされたのですか?」
おそるおそる問いかけるといつもの表情にもどり、そのまま私の頬に手を遣ると、そっと目蓋に口づけを落とす。
その口づけをひとつ残して、兄は何も言わずに戻って行ってしまった。

「一体どうしたんだろう…?」
兄のいつもとは違う行動にとまどってしまう。

初めてやさしさをくれた。
羽織からは微かに兄の体温と香りが感じられた。
黒髪に挿し込まれた真っ赤な寒椿を鏡に映してみた。

ふっと微かに笑いが漏れる。
それから寒椿を髪から抜いて、雪の庭にそっと戻しておいた。
明日になれば、朝日を浴びてさらに美しく輝くだろう。
その姿を見た私は、花の名を知るように新しい何かを知る。
知ってしまえば、知らない頃に戻ることはできないのだ。

私がここにいる意味を。


(完)