恋ルキ・流魂街
明日、二人、瀞霊廷に行く。
死神になる。
「ああ、」
「恋次、今までありがとう。皆、今までありがとう。」
ルキアは三つの墓に向かって言った。
「ああ。」
「院生になっても死神になっても、よろしく頼むぞ。」
「ああ。」
もう泣き止んだのか。
まだ少し目を赤くしてルキアは微笑んだ。
しばらく無言で歩いていたが、皆で住んでいたボロ小屋へ帰り着き、やっと恋次が口を開いた。
「心配すんな。てめぇと俺はずっと一緒だ。」
「…とか言って、死神になったら目移りするほど女が居るぞ。大丈夫か?死神の女性は綺麗な人が多いと聞く。それでもずっと一緒か?」
…そういう意味で受け取ったか。
まあ、そういう意味で言ったんだけど。
いつも俺がお前の為に何したって何言ったって、的外れな返し方してたくせに。
俺の気持ち気付いてたのか。
「…当たりめぇだ。てめぇの相手出来んのなんか俺だけだ。」
「そうか?良くそんな事が言い切れるな。」
「てめぇこそこんな貧相な身体で良くそんな事が言えるな…」
呟きながらルキアの身体に後ろから回した腕は自分でも驚くほど彼女の身体を強く抱きしめていて、痛い。と言いながらも笑っている彼女の心臓の音がはっきり感じとられた。
その音は普通よりも速く、あぁ、こいつもそうか。と安心して、紅い顔をしてこちらに振り返るルキアの唇に自分の唇をそっと重ね、ゆっくりと床に横たえる。
唇は頬、首筋、下へ下へと降りて行き、いつの間にかその白い胸元へと辿り着く。
「貧相なのだろう…?」
俺を見上げる目は少しだけ笑っていて、少しだけ不安げだ。
はだけた着物に手をかけ広げると、僅な膨らみと、薄桃色のふたつの目印。
始めは手を添えるだけ、次第にゆっくりゆっくり、揉んでゆく。
思っていたより柔らかいその感触に、恋次は頬を紅くした。
なんせ、女の乳房に触れるのはおろかこんな間近で見るのだって初めてなのだ。
それが好きな女で、その女が自分の手によって快楽を得ているから尚の事。
片方の桃色を口に含んで、舌でつつく。
上手く出来ているだろうか。
「…ぁ…っはっん…恋じ…ふぁ」
可愛らしく鳴いているから、それなりに出来ているのか。
後は夢中で、俺のモンだって跡を付けたり、切なそうな息遣いで応えてくれる事に喜んでみたり。
「ぁっ…はぁっ…」
いつの間にかルキアの両腕は俺の首に回されていて、
「れ、んじ」
そんな悩ましげな声で名前を呼ばれちゃ、おとなしくなんかしてられなくて。
細い脚にそっと触れ、つつつ…と撫でる。真っ赤になって反応してくれたけれど、その目には隠せない不安の色。
「頼む…大丈夫、だから。」
「それ以上言うな。良いから。な?」
おとなしくなんかしてられない。
けれど、こういうのは良い思い出にしたいから。
まだ、時間はたっぷりあるんだ。
準備万端のオレ、どうか今日のところは…
「…続きは…死神になれたらな。だから…頑張って二人で死神になろうぜ。絶対。絶対にだぞ。」
子供っぽく、小指なんかを絡ませて、最後に優しい口付けを。
その夜は、二人抱きしめ合って眠った。
ずっと一緒に居ると誓った夜。
戸が壊れ、外が見えるほど大きな穴のあいた簾がかかった入り口からは、とても綺麗な夜空が見えた。
瀞霊廷には綺麗な物があるだろうか。
少なくとも、今より良い着物をきて、良い家に住んで、良い物を食べて
でも、いつまでも、俺の中の綺麗な物はふたつ。
この薄汚い街の夜空に輝く星達と
目の前で眠る少女だけ。